安納芋の栽培方法は、普通のさつま芋と一緒なので特に難しいことはありません。
普通のさつま芋より甘みがある安納芋、これは「甘い品種」だからで、特別な栽培をしているからではないんですよ。
ただし安納芋もさつま芋、栽培過程でツルが伸びるので、ある程度広い面積が必要ですが、大きめのプランターや、培養土の袋を利用すると、狭いスペースでも栽培ができ、しかも風通しと日当たりさえ気をつければ病害虫が少なく、イモが大きく育つメリットもあります。
ここでは安納芋栽培に関して、”苗づくり”から”収穫後”までを分かりやすく解説します。
安納芋栽培・育て方のポイント
安納芋の栽培方法は
- 苗を用意
- 育てる場所を準備
- 苗の植え付け(5月中旬~6月中旬)
- つる返し
- 収穫(10月~11月初旬)
- 熟成
約6~7ヵ月かけて、収穫を目指します。
苗を用意する
1.『購入する』
安納芋の植え付けは5月中旬から6月中旬ころ、なので4月下旬ごろからホームセンターなどで販売され始めます。
2.『自分で育てる』
苗を作る種芋はスーパーで売ってるものでOK!200~300gくらい、できるだけ傷がないキレイな芋を見つけてくださいね。植え付けに合わせ、4月には種芋の芽出しをスタートさせましょう。
【育て方の手順】
- トレーにバーミキュライトを入れ、種芋を2/3ほど埋めて芽出しをします。
・苗となる芋は成長点を埋めないように注意
・芽出し優先のため水は控える
・生育適温は25~35℃、気温が低いときは防寒対策として、空の水槽などに入れてみてください - 植え付けから約2週間ほどで発芽
・水やり開始(はじめは少なめ)
・気温が上昇したら日中は日に当てる - 苗としてカットする
・長さは約25~30cm、5~6枚葉のついてるところでカット
・1つの種芋からおよそ15~30本の苗が採れます
育てる場所を準備・プランター編
ここでは安納芋をプランターで栽培する方法をご紹介します。
- プランターは大型で、深さが30~40cmのものを用意
・横幅が60㎝ほどあるプランターなら、株間を30cm取り、垂直に苗2本まで植え付けが可能です - 土は市販の培養土を利用
・自分で土作りする場合は小粒赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1
・腐葉土をプランターの底に敷き、その上に赤玉土とバーミキュライトのミックスを入れます - 大きめのプランターがないときは、培養土の袋をそのまま使っても良いでしょう
・水はけをよくするため、袋の角をカットし他にもいくつかの穴をあけておきます
▼安納芋にオススメプランター▼
苗の植え付け~ツル返し
さつま芋の植え付け方には、「水平植え」「斜め植え」「垂直植え」がありますが、プランター栽培では「斜め植え」or「垂直植え」が適しています。
「水平植え」
切り苗を水平に寝かせ4~5節を埋める方法、イモの数は多く揃いも良い
「斜め植え」
イモのサイズは小さめだが、数は多い
「垂直植え」
切り苗を真っすぐに挿し2~3節を埋める、数は少ないが太くて大きなイモが期待できる
プランターのサイズによって、横幅が60㎝以下なら1つに苗1本・斜め植え、横幅が60㎝以上なら1つに苗2~3本・垂直植えが良いでしょう。(株間30cmを目安に苗数を調整)
安納芋の植え付け場所ができたら、苗を挿し木します(深さは約10cmほど)。
挿し木からツルが伸びるまでは、可能な限り水やりを行って成長を促し、7~10日後からは最小限の水をあげます。
無事に根付くと約2週間ほどでツルが伸び始め、約2ヵ月で勢いよく這うように茂り始めます。
さつま芋のツルは土に触れると、茎から根が生えイモに養分が回らない「ツルぼけ」現象が起きてしまうため、支柱を立てたりベランダの柵などにツルを誘引しましょう。または定期的につるを持ち上げる「ツル返し」をして管理します。
またプランターでは根の成長に伴い、土が減少するので「梅雨明け頃」と「夏の終わり頃」を目安に、土を追加してあげましょう。
さつま芋は土から養分を吸収する力が強いため、あまり肥料を必要としません。はじめに培養土を使うと肥料・追肥は不要です。
安納芋の収穫~熟成
植え付けから110~120日で収穫できます。葉の色が黄色や赤色になったら収穫の目安、ツルの付け根が太くなっていれば、イモも太ってきたサイン。
【収穫~熟成の手順】
- 収穫はその後イモを乾燥させるため、晴れた日の午前中に行う
- ツルを根元から15cmくらいで切る
- ツルから少し離れたところからスコップなどで土を掘り起こし、イモを傷つけないよう収穫
- 安納芋を一つずつ切り離し、2~3日・天日干し
- その後1つずつ新聞紙に包み、日陰・気温12~13℃の場所で2~3週間貯蔵・熟成させる
(そうすることで、イモの甘みが増す)
サツマイモ栽培中の伸びたツル、切るのはNG?!
さつま芋類は、葉が光合成をすることによってできるでんぷん質をイモに貯めながら、大きく成長する植物なので、栽培中の葉やツルは切らない方がいいとされてます。
なので、伸びすぎたツルは「ツル返し」して対処します。多少、ツルの先端を切る分には良いですが、イモを太らせるためには、最小限にとどめておきましょう。
ですが収穫直前の9月になると、土の中のイモは大きく育っている状態、イモの肥大に影響しないので株元の周辺2mを残し、カットしても大丈夫。
ちなみに、カットしたツルは30cmほどの長さにして乾燥させ、気温の高いうちに土に紛れ込ませれば、分解され処分も楽になります。
またツルの皮をはがすと、野菜としてみそ汁の具などとして食べることもできます。
まとめ
安納芋は、普通のさつま芋より高値で販売される高級食材ですが、栽培方法は一般的なさつま芋と同じで、難しくありません。
しかも土の中で育つイモ類は、病気にも強く台風や大雨でも害を受けにくく、プランターでもできるので、ぜひ挑戦してみてください。