介護の資格はあっても、現場では未経験・新人の場合、仕事に慣れるまでおよそ3~4ヵ月かかります。
ここで言う「慣れる」とは、一人で回せるようになる事で、単純な介護業務だけなら1~2ヵ月ほどです。
ですが、介護の現場ではスタッフ・利用者さんとその家族、看護師やリハビリ、ケアマネージャーや生活相談員など、立場の違うさまざまな人と関わりがあります。また、施設のルールがあったりシフトによって業務の流れが違うこともあります。
これらをまとめて覚えるのに、3~4ヵ月必要と考えられます。
新人の介護士が仕事に慣れるまで
新人の介護士がひとり立ちするには、大きく分けて以下の2点を覚える必要があります。
- 利用者さんの介護業務
- 施設内の人間関係やルールなど
入職直後は覚えることが多く、大変だと感じるかもしれませんが、先輩スタッフが付いて教えてくれるので心配はいりません。
介護業務を覚えるまで
介護の実務的な仕事内容は
- 食事介助
- 入浴介助
- 排泄介助
- 更衣介助
- 移動・移乗介助
- 見守り・傾聴
- 口腔ケア
など、多岐にわたります。
施設によって研修の充実度や介入する頻度が変わりますが、一通り覚えるまでおよそ1~2ヵ月必要と考えられます。
夜勤のある職場では、通常業務を問題なくできることと、急変や異常時に対応できる必要があるため、さらに時間が必要です。
たいていの場合先輩スタッフが3~4回同行し、業務を教えてくれることになります。
人間関係や職場ルールを覚えるまで
介護の現場では
- スタッフ
- 利用者さんとその家族
- 看護師
- リハビリ
- ケアマネージャー・生活相談員
- 管理本部
など、立場の違うたくさんの人と関わりがあるため、人間関係を把握しコミュニケーションを取る必要があります。
介護職で離職経験がある人を対象にしたアンケートでは、「職場の人間関係」が離職理由で最も多く、いかに重要かが分かりますね。
また、利用者さんも個性があり、介入する頻度にもよりますが、特徴をつかみ安全にケアするまで時間がかかることもあります。
くわえて、現場には現場のルールがあるので、全てを覚え一人で回せるまでおよそ3~4ヵ月必要と考えられます。
慣れるためにできること
新人の介護職員が早く仕事に慣れるには
- 仕事を覚え
- ルールを知って職場になじむ
ことがポイントです。
仕事を早く覚えるには?
介護の現場で、新人は知らないことが多く、スムーズに仕事がこなせず不安がいっぱいですね。
できる限り早く仕事を覚え、慣れるためのポイントはおもに3つ。
- メモを取る
- 分からないことはすぐに質問する
- 自分の判断ですすめない
メモを取る
メモを取って記録を残すことで、見聞きしたことを思い出したり、忘れないためのツールになります。
新人スタッフにとって、現場は初めての経験ばかりなので、すべて1度で覚えるのは難しいです。そんなときにメモがあれば、記憶をたどって振り返ることができますね。
ですが実技を指導される場合、見逃すことがないようメモは取らず、しっかり見学します。そして、あとからポイントを自分なりにメモしておきましょう。
分からないことはすぐに質問する
些細なことでも、疑問なことはその都度質問して解消していく態度が大事です。
新人のうちは質問できるのが特権です。逆に、曖昧にしておくと、独り立ちしたときに自分が苦労することになります。
また、同じミスを繰り返すことになり、「学習してない」という印象を与えるかもしれません。
自分の判断ですすめない
分からないことを自己判断ですすめることで、思わぬ事故につながることがあります。
特に未経験で新人の場合、基本的な判断力やスキルが不十分。迷ったときは必ず、周囲の先輩スタッフに確認するよう心がけましょう。
職場に”馴染む”ポイントは?
介護の現場で、人間関係を含め職場に馴染むには3つのポイントがあります。
- コミュニケーションを取る
- 複数の先輩スタッフから教わる
- 大きな声でハキハキ話す
コミュニケーションを取る
普段から周囲とコミュニケーションをとっておくと、信頼関係が築きやすくなり、慣れない職場でも早い段階で溶け込むことができます。
また、質問もしやすくなり、早く仕事を覚えることにもつながります。
話すことが苦手な人もいるかもしれませんが、新人のうちは周囲に助けてもらう必要があります。ここは頑張ってコミュニケーション取っていきましょう。
複数の先輩から教わる
複数の先輩スタッフから教わることで、介護の視点や技術の幅を広げることができます。
介護職として、共通したスキルや知識だけでなく、バリエーション豊かな介護技術を身につけることで、個性の違う利用者さんに合った対応ができるようになります。
結果、仕事にも早く慣れることができ、複数の先輩スタッフと関わることで、コミュニケーションを取ることにもつながります。
大きな声で話す
声の大きさやトーン・ハキハキ話すことは、人とのコミュニケーションを取るうえで大切な要素です。
小さな声でボソボソ話されると、聞き取りずらい上にあまり良い印象を与えません。
緊張して声が小さくなったり、人と話すのが苦手な人は、意識的に明るいトーンでハキハキと会話するよう心がけていきましょう。
新人が慣れやすい職場の選び方
介護の仕事は覚えることがたくさんあって、独り立ちまで数か月かかりますが、自分に合った職場選びも大切です。
自分に合った施設はどれ?
介護施設は種類によって、利用目的や利用者の介護度、提供されるサービス内容が違い、スタッフの仕事内容も違います。
主な施設は下記の通り。
特別養護老人ホーム(通称:特養) ・おもに自治体や社会福祉法人が運営するため、公的な要素が強い ・原則、要介護3以上の比較的重度の方が入所する 【仕事内容】 ・入浴・移動・排泄など身体介護が多い ・入所者だけでなく、自宅で暮らす方向けに「デイサービス」や「ショートステイ」を実施している施設もある |
有料老人ホーム(通称:有料) ・おもに民間企業が運営しており、大きく分けて「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」がある ・「介護付き有料老人ホーム」は、介護サービスを提供 ・「住宅型有料老人ホーム」は、高齢者向け住宅という位置づけで、介護サービスを利用する際は、訪問介護やデイサービス事業所と契約する形になる 【仕事内容】 ・有料老人ホームの場合、施設によって業務内容が違ってくる ・施設によって、サービス内容や設備に特徴があるため、事前にあるいは面接時に要確認 |
介護老人保健施設(通称:老健) ・医療法人や社会福祉法人などが運営する公的な介護保険施設 ・病状が安定し退院した高齢者が、自宅で生活できるよう、リハビリや医療ケアをうけ、自立生活を目指すための施設 【仕事内容】 ・おもにリハビリスタッフが多く、多職種と連携して動く必要がある ・「デイケア」や「ショートステイ」してることもあり、担当業務により仕事内容が違うため、事前に確認が必要 |
認知症型グループホーム ・認知症の高齢者が共同生活する施設 ・9人までを1つのユニットとし、アットホームな場で生活する 【仕事内容】 ・認知症の進行をやわらげるケアが必要で、入居者と一緒に家事や食事作りをする |
サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住) ・見守りや生活相談サービスのほか、食事の提供、コンシェルジュサービスなどがある場合もある ・介護サービスに関しては、利用者が別途外部の訪問介護事業者などと契約する 【仕事内容】 ・サービス付き高齢者向け住宅で働くスタッフは、介護保険サービスは行わない ・ただし訪問介護事業所を併設してるケースでは、2つの事業所を兼務して、介護保険サービスを提供することもある |
ショートステイ ・短期間(連続日数30日まで)入所し、介護サービスを受ける ・家族の介護負担を軽くする目的や、家族が不在になるときの宿泊先としても利用される 【仕事内容】 ・身体介護と生活援助の両面をサポート ・短期滞在のため、利用者の特徴などに対応し、環境変化による利用者への配慮が求められる |
デイサービスセンター(通所介護) ・自宅で生活する高齢者を迎えに行き、食事や入浴・機能訓練などを受ける ・自宅にこもりがちの高齢者に対して、孤立感を解消する役目もある 【仕事内容】 ・食事や入浴介助 ・レクリエーションの企画や運営など ・宿泊付きの「お泊りデイサービス」の場合、夜勤もある |
このほかにも、「介護療養型医療施設(介護医療院)」、「住宅型有料老人ホーム」、「健康型有料老人ホーム」、「ケアハウス(軽費老人ホーム)」などがあります。
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まとめ
介護の現場で仕事に慣れるまで、未経験の人ならおよそ3~4ヵ月かかります。まずは、しっかり介護業務を身につけ、人間関係と会社のルールを覚えていきましょう。
また、介護施設といってもいくつかの種類があります。その中から、自分に合った職場選びも大切です。もし迷ったら、「きらケア」に相談してみてください。