家族を自宅で介護する場合、一番大変に感じることは、男女の違い・介護する人により個人差があります。
一般的に挙げられるのは、排泄介助・コミュニケーション・入浴や食事介助など日常の作業で、精神面・時間面・経済面などの不安要素もあります。
ここでは、介護経験者に対するアンケート結果から、介護で一番大変なことと、その対処法について解説します。
介護で大変なことは何?
親族などを介護した経験のある男女、1,043人に対してインターネット調査したところ、3割以上の方が排泄介助が大変と感じていることが分かりました。
また、半数以上の方が認知症や高齢の方を介護しているため、コミュニケーションを取ることも大変なようです。
1位:排泄介助
排泄介助と言っても、オムツとは限りません。
トイレへの誘導・便座への移乗・ポータブルトイレの使用・失禁があるようならリハパンを履いてもらい、寝たきりや排泄の認識が無くなったとき、最終的にオムツを使います。
人によっては、ニオイや汚物処理が苦手かもしれません。男性は女性の排泄介助に、抵抗を感じるかもしれませんね。また、女性が自分より大柄な人を介助するのは体力的にも大変です。
年配の方は頻尿になるので、何度もトイレ誘導したり、オムツ交換が必要になるかもしれません。そして、これを毎日続けていると「大変だ」と感じてもムリありません。
2位:コミュニケーション
在宅介護は、家族であるが故に感情的になってしまい、コミュニケーションを取るのが難しいものです。
特に認知を発症していると、食事したことを忘れたり、モノやお金を取られたなどの妄想がひどくなったり、急に怒り出したり、人の顔が分からなくなり、症状はどんどん進行します。
このような状態では、意思の疎通は図りずらく、ストレスばかりたまります。
3位:入浴介助
お風呂場は足元が滑りやすく、危険リスクの高い場所。足腰が丈夫な方でも、入浴介助は骨が折れ神経も使います。
また認知があると、入浴を拒否することがあり、清潔を保つのが難しいこともあります。
4位:食事介助
特に、男性にとって食事介助は、食べさせるだけでなく、準備や後片づけもあり、慣れない作業で大変でしょう。
誤嚥リスクがある場合は、食事の形態を考えなければなりません。食後には、口腔ケアも欠かせません。
その他の不安要素
介護を大変にするのは、毎日のケアだけでなく、精神面・時間面・経済面などの不安要素があります。
介護にかかわる機会の多い女性は、ひとりで悩みを抱え込んで、精神的・時間的に苦痛を感じる傾向があります。
また介護には、介護用品のレンタル代や購入費が必要で、介護保険でカバーできない分に関しては、全額自己負担になります。
在宅介護では、介護者が仕事を減らしたり離職して時間を割き、経済的に困窮することもあります。
「大変」なとき、どうする?
専門家への相談が必要ですが、介護認定を受けているかどうかで、相談窓口が違います。
介護認定なし
まずは、最寄りの地域包括センターに行き、在宅介護の悩みを相談、介護認定を進めましょう。
介護認定あり
担当のケアマネジャーに、在宅介護で困っていることを、ありのまま伝えましょう。そうすることで、プロのアドバイスや情報が得られます。
例えば、デイサービスやショートステイ、訪問入浴、訪問介護、施設への入居など、いろんな選択肢を提案してもらえると期待できます。
介護の悩みは、できるだけ早く相談することが大切です。
どんな備えが必要?
介護は突然、始まります。そのためにも、事前に準備・確認しておくことを知っておきましょう。
- 介護について当事者を含め、家族や兄弟と話し合っておく
⇒まず、介護に参加できるメンバーを確認し、協力体制を作ります。次に、本人の希望を聞き取りますが、必ずしも希望通りにはいかないことを伝えておきましょう。 - 周辺環境を見直す
⇒転倒しないよう、滑りやすい床や段差無くす、手すりやスロープの設置、移動スペースの確保、緊急用のブザーの設置など。なかでも、トイレをバリアフリー化しておくだけでも、介護が楽になります。 - 専門家への相談
⇒最寄りの「地域包括センター」なら、介護が始まる前から相談することができます。例えば、介護認定の進め方や、介護保険制度についてなど、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。 - 資金の準備
⇒基本的に、介護に必要な資金は介護を受ける人が負担するもの。まずは、介護を受ける人がどれくらいの資金があるか、確認する必要があります。そのうえで、足りない分をどうするかを検討しましょう。
介護は、いつまで続くか誰にも分かりません。介護する側の生活・家族を守ることを、一番に考えるべきで、決して無理すべきではありません。
まとめ
家で親族を介護するのは大変です。
慣れない排泄ケア・コミュニケーション・食事や入浴介助は、毎日繰り返されます。また、介護する人中心の生活にストレスを感じたり、自分のことが何も出来なくなるかもしれません。
介護はいつ終わるか分からないので、決して無理して続けてはいけません。また、急な予定で介護できないときは、民間の介護サービスを利用するのがおすすめです。
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