介護職は、無資格でも仕事に就くことはできます。ただ基本的に、利用者さんの身体に触れる「身体介護」は有資格者しか行うことができないため、無資格ではケアできる範囲が限られます。
例えば、有資格者のサポートや、利用者さんの身体に触れない「生活援助」の仕事が中心。なので、無資格者の平均的な給与は、有資格者の給料に比べ2~3万円ほど低いのが一般的です。
ここでは、資格の有無によって、どれくらい給与・手取り額が違ってくるかを紹介したいと思います。
『給与額と手取りの違い』
給与額・額面給料とは?
基本給に資格手当や通勤手当など、各種手当を加えた総支給額のこと。
手取りとは?
給与額・額面給料から所得税・住民税・社会保険料・労働保険などを差し引いた後の、手元に入って来る金額のこと。
一般的に、給与額の7~8割程度がおよその手取り金額となります。
介護資格の有無で給与はこれだけ違う!
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、無資格の介護職員・平均給与額は271,260円。
身体介護できる、最低限の資格「介護職初任者研修」を取得してる人が300,510円ですから、およそ3万円ほど少ないことが分かります。
資格別の給与額
介護職にはいくつかの資格があり、資格の有無は給与を定める1つの要素になります。
資格の種類 | 2021年度の平均給与額 |
無資格の場合 | 271,260円 |
介護職員初任者研修 | 300,510円 |
介護福祉士実務者研修 | 307,330円 |
介護福祉士 | 328,720円 |
介護支援専門員 | 362,290円 |
(介護職員の平均給与額等・月給常勤の者、処遇改善加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所)
『資格の種類について』
●介護職員初任者研修とは?
介護の基礎知識・スキルがあることを証明できる入門資格で、最短1ヵ月で取得できる資格です。
●介護福祉士実務者研修とは?
介護職員初任者研修の上位に当たる資格で、施設においてサービス提供責任者として働くこともできます。
●介護福祉士(国家試験)とは?
介護福祉士は介護職で唯一の国家資格で、取得するには難易度がやや高めです。働きながら取得するには、介護施設での実務経験3年以上と、実務者研修を修了し、国家試験に合格する必要があります。
●介護支援専門員(ケアマネジャー)とは?
介護保険制度に基づき、介護が必要な方の身心の状況や周囲の環境などに応じて、介護サービスが利用できるためのケアプランを作成します。長期の実務経験が必要な専門性の高い資格と言えます。
介護職の現場では、資格取得の難易度が上がるにつれて、平均的な給与額も増額される傾向にあります。施設によっても待遇は変わりますが、資格を取得してできることを増やすことが、収入アップにつながると考えられます。
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資格以外でも、給与額は違ってくる!
介護業界の給与は資格の有無以外にも、性別・施設の形態・年齢・勤続年数・地域による違いがあります。
性別・施設の形態による違い
介護施設には、入居形態や提供されるサービスによって、さまざまな種類に分類されています。
ここでは、性別と一緒に、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「訪問介護事業所」「認知症グループホーム」で、給与額の違いを調べてみました。
男性 | 女性 | 無資格 | |
特別養護老人ホーム | 358,030円 | 335,900円 | 293,060円 |
介護老人保健施設 | 353,830円 | 327,140円 | 282,630円 |
介護療養型医療施設 | 316,680円 | 273,920円 | 230,090円 |
訪問介護事業所 | 336,910円 | 306,960円 | 286,390円 |
認知症グループホーム | 301,620円 | 286,570円 | 247,700円 |
給与額に男女差がある原因
給与額に男女差が生まれる原因は、男性の方が管理職につきやすいという、職場環境にあると考えられます。
どんな業種でも女性は、結婚や出産・子育てを機会に退職したり、働き方を見直すもの。
一方、男性は仕事のスタイルを変えることなく、一つの施設で着実にキャリアを積み重ねていくことができます。
手当のつく夜勤をしたり、チームリーダーなどの管理職に抜擢される機会が多いことから、平均的に男性の給与の方が高くなるといえます。
年齢と勤続年数による給与額の格差
一つの施設で、勤続年数が増えればその分基本給が上がります。また、同じ職場で長期間勤務することで、介護主任など責任ある役割を任されることもあります。
男性(勤続年数) | 女性(勤続年数) | |
29歳以下 | 297,240円(4.3年) | 287,400円(4.1年) |
30~39歳 | 340,130円(7.6年) | 305,860円(7.8年) |
40~49歳 | 355,700円(9.8年) | 310,510円(9.3年) |
50~59歳 | 332,670円(9.6年) | 315,760円(9.6年) |
60歳以上 | 286,900円(9.2年) | 292,710円(11.2年) |
介護職は離職率が高いと言われますが、上記の表からも60歳以上で、勤続年数は10年弱から11年ほどで、短いように感じますね。
厚生労働省の「令和2年雇用動向調査結果の概要」によると、介護職の離職率は14.9%、全産業の平均離職率は15.6%ですから、介護職が飛びぬけて多いわけではありません。
介護職の場合は退職しても、また別の施設に転職する人も多くいるため、「全く介護職から離れる」という意味での離職率は低いことが予想できます。
地域による平均年収額の違い
人口の少ない地方では、平均年収や最低賃金が低いことから、介護職の平均年収は都心部より低い傾向にあります。とはいえ、これは介護職に限らず、どの業界においても同じ現象と言えるでしょう。
平均給与の高い都道府県
平均的な年収額(見込み手取り額) | |
埼玉県 | 333.1万円(約250~283万円) |
東京都 | 314.5万円(約236~267万円) |
神奈川県 | 305.0万円(約229~259万円) |
愛知県 | 301.3万円(約226~256万円) |
長野県 | 288.0万円(約216~245万円) |
平均的に年収が多いのは、都心部に集中していますが、以外にも東京都より、埼玉県の方が平均的に年収が高いのが目を引きますね。
平均給与の低い都道府県
平均的な年収額(見込み手取り額) | |
大分県 | 196.0万円(約147~167万円) |
栃木県 | 196.9万円(約148~167万円) |
沖縄県 | 200.5万円(約150~170万円) |
宮崎県 | 201.5万円(約151~171万円) |
長崎県 | 202.2万円(約152~172万円) |
九州や四国地方は全体的に、平均年収が低い傾向。
年収を上げるため、居住地域を変えるのは中々難しいかもしれませんが、おおよその平均額を知っておくのは役立つかもしれませんね。
まとめ
介護職は、無資格でも仕事に就くことができますが、ケアできる範囲が限られるため、有資格者と比べると手取りで年間20~30万円以上の差が生じます。
施設によっては、資格取得のためにかかる費用を負担してもらえる場合もありますが、介護教室も運営する就職支援センターのかいご畑なら、働きながら介護資格が取得できます。
また、介護職の入門資格となる「介護職員初任者研修」は、130時間のカリキュラムを修了し、試験に合格するのが一般的な流れ。
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