冬の家庭菜園では、前半の12月までは「冬どり野菜の種まきや苗の植え付け」を行い、後半の1月~2月にかけては「春どり野菜や夏野菜の苗づくり」が中心です。
寒い冬に野菜作りするときのポイントは、寒さに強い品種・耐寒性のある種類を選ぶこと。種の袋に、「耐寒性」「種まきが低温でもできる」「寒さに強い」などと記載されてることを確認しましょう。
冬の栽培メリットは、害虫の影響を受けにくく雑草の心配もありません。
一方、霜や寒風・日照不足の影響を受け種が発芽しにくいので、不織布などを利用して保温栽培するのがおすすめです。
放置しても育つ冬の野菜たち
冬の前半は、栽培期間の短い葉物野菜をメインに、余裕があれば少しずつ、春夏野菜の苗づくりを始めましょう。
冬の定番はほうれん草
ほうれん草は寒さに強く冷涼な気候を好みます。暖かく日当たりの良い場所なら、植木鉢やプランターで12月頃まで栽培できます。
【ほうれん草の育て方】
- プランター上部の縁から3~5cm下まで土を入れる(土は野菜用の培養土)
- 浅めのまき溝に1cm間隔で種まき
- 土をかぶせ軽く押さえたらたっぷり水やり
- 発芽するまではプランターの底から水が流れ出るくらいたっぷり目に与える
- 葉が伸び始めたら、最終的に5cm以上の間隔になるよう間引きし、時折土寄せしておく
- 週に1回ほど液体肥料を与え、草丈が20~25cmくらいになったら収穫
カイワレ大根なら、室内で通年栽培できる
カイワレ大根は、年間を通して栽培することが可能で、種をまいてから7~10日で収穫できます。が、気温の下がる11~2月までは、室内でも収穫までの日数がかかります。
気温が低い時期は「催芽処理」してから始めよう
カイワレ大根は室内でも、低温期(10~3月頃)には発芽が遅れやすくなります。そこで、発芽を促すため「催芽処理(芽出し)」をします。
●催芽処理の方法
・鍋などに水を入れ、20℃前後のぬるま湯を作る
・ぬるま湯に種を浸し、4~6時間ほど放置して水から上げる
以上
【カイワレ大根の育て方】
- カイワレ大根を栽培するトレーを用意し、スポンジなどを敷く
- トレーに種を入れ1/3程度浸かるよう水を注ぐ
- 1日1回、水を入れ替える
室内でも栽培できるルッコラ
ルッコラの生育適温は、15~25℃ですが耐寒性があるので真冬でも育ちます。気温が低い時期には、室内など比較的暖かな場所で栽培しましょう。
ルッコラの育て方
- プランターは標準タイプ(60㎝)で5~10株ほど、直径30cmの鉢なら2~3株栽培できます
- プランターの8分目まで土を入れ、5㎜程度の溝を作り、1cm間隔で種をまきます
- 上からふるいなどを使って、細かい用土を薄く被せます
- 軽く上から土をおさえ、種と用土を密着させ、たっぷりと水やりします
- 発芽まで約5~7日程度、水切れしないよう注意しましょう
※ルッコラの種はとても小さいので、種まき前に用土を十分湿らせておくのがポイント - 発芽がそろったら、株間2~3cmに間引き
- さらに葉が込み合ってきたら間引きを行い、最終的に株間5~10㎝になるよう調整します
- ルッコラを株ごと収穫するなら追肥せず、水やりだけで放置しても育ちます
- 外葉を摘み取り長く収穫するなら、2回目の間引き後から2週間おきに施します
- 追肥のタイミングで、水やり代わりに液体肥料なら簡単ですよ
- ルッコラの収穫は草丈15㎝以上で、20~25cmの頃が最も香りがよく味も美味しい時期
- 高温期なら30~40日、低温期では40~50日、晩秋なら60日以上が収穫目安
【そのほか11月・12月に種まきできる野菜】
ベビーサラダレタス・小松菜・ミニ青梗菜・サラダ春菊・きぬさや・ロケット・水菜・からし菜・ミニ大根など
冬から始める春夏野菜の苗づくり
寒さが厳しい1~2月にかけては、春先に収穫する野菜の苗づくりを始めましょう。
ベランダ菜園では、気温が5℃を下回るようなら、寒風に当たらない場所にプランターを移動させたり、ビニールなどで保温するのもおすすめ。
特に1・2月は、育てる野菜の発芽と生育に適した温度が保てる環境さえ整えば、後はほったらかしでも大丈夫すよ。
スティックセニョール
スティックセニョールは、年に2回栽培できる野菜で、春に収穫するためには1月下旬~3月頃に種まきを始めます。気温が低い時期の種まきは、育苗ポットやセルトレイを使うのがおすすめです。
【スティックセニョールの育て方】
- 育苗ポットやセルトレイに湿らせた土を入れ種まき
- 上から用土を薄く被せ軽く押さえる
- たっぷりと水やり
冬の間は、本葉が5~6枚まで育苗し3月以降、プランターなら30cm以上の株間を取って植え付けていきます。
シシトウ
【シシトウの育て方】
- 育苗ポットに土を入れ、1か所に2~3粒のタネをまき
- 土を5~10ほど被せ水やり
- 苗の植え替えまで2ヵ月以上かかるため、用土の湿度と温度管理する
- 本葉が出たら、丈夫な苗を1本残し、他の株は間引き1本立ちにする
4月下旬、本葉が7~8枚でてきたら株間30cm以上あけて、プランターなどに植えつけます。
キャベツ
キャベツは害虫が付きやすいですが、対策さえしっかりすると上手に育てられます。また、2月に種まきするなら、発芽後の水や温度管理がし易いポットまきがおすすめです。
【キャベツの育て方】
- 育苗ポットに土を入れ、1か所に種を3~4個ほど点まきする
- 土を1cmほど被せ、手のひらで軽く押さえて種と用土を密着させる
- 芽が揃うまでたっぷり水やり
- 発芽したら3本に、本葉が2本揃ったら2本に、本葉が3~4枚になったら1本に間引きする
4月中旬ころまでに、本葉5~6枚程度ある苗から順次植え付けていきましょう。
【そのほか1月・2月に種まきできる野菜】
つるなしエンドウ・ミニニンジン・スイスチャードなど
まとめ
冬の野菜作りは耐寒性のある葉物野菜や、室内でも育てやすい野菜と、春夏野菜の苗づくりが中心になります。
寒い季節は、害虫と雑草の心配はありませんが、霜や寒風の影響を受けやすいので、不織布やビニールハウスなどで寒さ対策するとよいでしょう。
冬は寒くて野菜を育てるのも億劫になるかもしれませんね。なのであまり手をかけず、放置しても育つ野菜を育ててみてください。