家庭菜園で甘い人参を収穫するには、間引きのタイミングで追肥に”卵の殻”を加えると、ミネラル分が吸収され甘く育ちます。
作物の成長には、「窒素・リン酸・カリウム」の三大要素が必要ですが、カリウムが多いと臭みが増し、窒素を吸収しすぎると苦みが生じます。
そのため人参の甘みを引き出すには、バランスの良い肥料に加え、微量要素のミネラル成分を補うのがポイントです。
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「卵の殻」でなぜ人参が甘くなる?
甘い人参を育てるポイントは2つ
- 臭みと苦みを抑え
- ショ糖を増やすこと
卵の殻に含まれる主な成分は「炭酸カルシウム」ですが、植物がカルシウム成分を吸収すると、窒素の吸収を抑制して苦みを抑えます。
また、卵の殻にはカルシウムだけでなく、窒素・リン酸・カリ・ケイ酸・鉄・マンガン・ホウ素・亜鉛・銅・モリブデンなど、植物に必要な微量要素のミネラルが含まれます。
卵の殻を肥料として与えることで、人参の甘み・ショ糖を増やすミネラルとカルシウムが吸収され、同時に土壌の酸度(pH)も調整するので、さらに栄養素が吸収されやすくなります。
また卵の殻は、軽石のように小さな穴が開いているので、土の通気性・保肥力を高め、土壌改良にも役立ち、人参だけでなくほかの根菜野菜にも使えます。
卵の殻肥料の作り方
卵の殻をよく水洗いして乾燥させ、粉砕して粒~粉状にします。これを2回の間引きの際に、追肥として与えます。
また元肥として、種まきの際に土に加えてもOKです。
酢に漬け込む
卵の殻を酢に漬け込むと、「酢酸カルシウム」が発生し、液肥として使えます。
《作り方と使い方》
- 食酢2ℓに卵の殻20個分を入れる
- 1日置いて完成
- このお酢を40~50倍に希釈して、2週間に1回程度水やり代わりに与える
酢酸カルシウムを液肥として与えると、作物の糖度がアップして、作物が丈夫に育つようになります。
プランターで甘い人参を育ててみよう
人参は「発芽したら半分は成功」といわれるほど、発芽が難しい野菜。まずは確実に発芽させるため、多めに種まきして絶対乾燥しないよう、こまめな水やりを心がけましょう。
品種選び
人参は品種によって、大きさや栄養価・味に違いがあるので、まずは甘いとされる品種を選びましょう。
家庭菜園なら、夏に種まきし、秋から冬にかけて収穫する品種が、失敗が少なくておすすめです。
《おすすめ品種》
「甘美人」は春・夏まきができ、収穫までおよそ130日。糖度が高く、フルーツのような味が楽しめます。
「ベターリッチ」人参特有のにおいが少なく、お子さんにもおすすめです。
「ひとみ五寸」は、肉質が柔らかく甘みが強い人参で、夏まき冬鳥用の品種です。
「ピッコロ」は、生育日数は70~90日で育てやすく。甘くて柔らかいので生食に向いてます。
また、プランター栽培では根が太りにくいので、あえて五寸系(およそ15㎝)の品種を栽培し、三寸(およそ9㎝)ほどのサイズで収穫するのもおすすめです。
栽培手順
《用意するもの》
- 四角い深型プランター
(深さ30㎝以上・容量20ℓ以上) - 用土
(培養土:完熟牛ふん=2:1 +卵の殻) - 人参のタネ
- 卵の殻肥料
《種まきのポイント》
- 適期にまく
- 筋状に種をまく
- 土質によって圧をかける
【1.種まき適期】
人参は冷涼な気候を好みますが、生育可能な温度域が広いので、関東地方なら2月中旬~8月上旬まで種まきが可能です。
一般地の春まきは3月下旬~5月上旬、順調に育てば6月下旬~8月中旬に収穫。夏まきでは6月下旬~7月中旬で、収穫は9月下旬~2月頃が目安。品種にもよるので、種蒔きのタイミングはよく確認してから始めましょう。
【2.種まきは筋状に】
人参は筋状に種まきすると互いに助け合い、発芽ぞろいが良くなり根を深く伸ばします。
【3.土を鎮圧】
種に薄く土を被せ軽く手で押さえ、種と土を密着させます。土が湿っている場合は、土がかたまって芽が出にくくなるので、土の鎮圧は行いません。
種まき後、雨が降りそうなときは、土の表面を不織布やワラなどで覆い、土が固くなるのを防ぐと良いでしょう。
間引きから収穫まで
人参の種を筋まきすると、種の量が多いので、このまま成長すると細い人参になってしまいます。
なので2回に分けて間引きをします。
1回目は草丈4~5cmの時、5~6㎝間隔になるように。2回目は、根の太さが5㎜程度の時、10~12㎝間隔で間引きします。
このタイミングで、卵の殻を追肥として与えます。根元から少し離れたところに、パラパラと卵の殻をふりかけ、水やりしておきましょう。
人参は初期生育が遅く、周りに雑草などが生い茂ると負けてしまい、元気に成長できません。周囲に雑草などがあれば、間引きのタイミングで抜き取っておきましょう。
また、残した苗には周りの土を寄せ、倒れないようにしておきます。
間引いた苗は、柔らかくせり科独特の風味があり、おひたしや天ぷらなどとして利用することができます。
品種にもよりますが、人参は種まきからおよそ90日で収穫できます。見た目では根の直径が5~7cmほど、肩の部分が張り出しているなら収穫のタイミング。
収穫も適期を逃すと、実割れの原因になります。
まとめ
人参栽培では「種まきから発芽までが難しい」と言われ、発芽さえしっかり揃えば、あとは2回の間引きの際に追肥として、卵の殻を与えておくと甘くておいしい人参が収穫できます。
またプランターで育てるなら、甘いとされる品種やベビーキャロットなどの品種がおすすめですよ。
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