はじめは種や苗から育て始めた草花の中には、放っておくと自然に種が落ちたり、球根やムカゴで増える植物があります。
一度植えると毎年花を咲かせ、手間がかからない優秀な草花ですが、一部では雑草化して手に負えなくなることも。
ここでは、ほったらかしで毎年咲く花と、注意が必要な植物を解説します。
放置しても咲く草花
いったん植えると、毎年のように花を咲かせ、年を追うごとに増えて楽しめる花をご紹介。
パンジー
種からよく育つパンジー。秋の彼岸頃がまきどきですが、秋から花を咲かせるには、8月中旬ごろから種まきをはじめます。
草丈はどれも10~15㎝ほどで、花の大きさも2cm~10㎝、なかでも花の小さい物はビオラと呼ばれ、こぼれ種でよく生えます。
パンジーの品種は、ほとんどが一代雑種品種と言われるもので、こぼれ種で生えてきた株は、親とは違った花を咲かせます。
一般的には、親より劣ることが多いですが、なかにはとてもきれいな花を咲かせることもあるので、お気に入りだけを残すようにすれば、毎年の開花が楽しみになりますね。
シバザクラ
シバザクラはランナーで広がり繁殖するため、種はほとんど流通しません。秋か春に苗から育てるのが一般的で、春には株分け、秋には挿し芽で簡単に増やすことが可能です。
広い地面をシバザクラで覆うには、数年かかりますが、一度広がりだすと他の雑草が生えてこなくなります。
ホウキグサ
コキアとも呼ばれる一年草で、春に種まきするか、苗を植えて育てます。
細い葉をもち、地上部が自然に丸い形になって、夏は黄緑・秋は赤く色づき観賞用として人気の植物です。
ホウキグサの種は「とんぶり」として食べることができ、別名「畑のキャビア」とも呼ばれるほど貴重な食べ物なんですよ。
収穫されない種は、こぼれて良く生えてくるので、適当に間引くだけで毎年きれいに育てる事ができます。
また、秋に赤くなり次第に茶色くなったホウキグサは、葉っぱを刈り取りひもでまとめ、持ち手を付けるだけで「ほうき」の出来上がり。
雑草化して注意が必要な草花
毎年花が咲いても、草丈が大きくなると刈り取るのも厄介な、雑草化する草花もあります。
コヒマワリ
一般的なヒマワリは観賞用に良く栽培されますが、一年草で、種が飛び散ることがないので、こぼれ種で増えることはほとんどありません。
一方、コヒマワリは多年草なので、花が終わっても土の中で横に広がり、年々雑草化してきます。草丈も1~1.5mほどまで伸びるため、放置しすぎると手に負えなくなるので注意が必要。
花が咲き終わったら、根っこごと引き抜いて間引いておきましょう。
フクジュソウ
お正月の縁起の良い植物として、加温されて出荷される多年草。自然界では2月~4月に花をつけ、種からもよく増える植物です。ただし、種まきから開花するまで早いもので4年を要します。
フクジュソウは、芽を出したら移植するのが難しく、花が終わると黒いハムシが多数ついて、葉を食べつくしてしまうなどの害虫被害があります。
そのため根元に殺虫剤をまいておく必要があり、厄介です。
フランスギク
草丈は50㎝程度で、5月頃になるとマーガレットに似た白い一重の花をつけるフランスギク。
寒さ暑さに強く株は横に広がり、種からも増えるため繁殖力が強く、ひとたび根を張るとすぐに、雑草化してしまう草花です。
野菜やハーブも雑草化する
料理に使える野菜やハーブも、いつの間にか雑草化するものがあります。
雑草化する野菜
【シソ】
シソは一年草の野菜ですが、一度植えるとこぼれ種からよく出てきます。
病気になりにくく害虫もつきにくいため、放任栽培で収穫できる優秀な野菜。日陰でも育ち、場所を選ばないのも雑草化しやすい要因といえます。
【ニラ】
ニラはシソと違って多年草の野菜、毎年同じ場所から葉を出し、一度植えればずっと収穫できます。
病気になりにくく、害虫もつかないので管理が楽な野菜ですが、葉の形が似ている水仙やハナニラと間違えないよう気をつけましょう。
水仙にはいくつかの有毒成分が含まれており、間違えて食べてしまうと、30分ほどで悪心・嘔吐・下痢・発汗・頭痛・昏睡・低体温などの症状が現れます。
ハナニラも同様毒性があり、間違って食べてしまうと、激しい下痢を引き起こすことがあります。
【モロヘイヤ】
粘り気のある健康野菜の一種。一年草ですが花をつけ、いつの間にか翌年も発芽して勢いよく育ちます。ただし果実には毒があるので、間違って収穫しないよう気をつけましょう。
雑草化するハーブ
【タイム】
料理に使われるのは、コモンタイムで10~20㎝程の高さで葉を密集させ、5月頃には白やピンクの小さな花を咲かせます。
他にもクリーピングタイムは、草丈が10㎝程の地面を這い、5月頃に小さな白やピンクの花を咲かせ、葉から葉いい香りが漂います。
ウーリータイムも、グランドカバーとして人気があり、タイムが地表を覆うと、他の雑草が生えてこないメリットがあります。逆にそれまで生えていた植物も、タイムが広がると弱るデメリットもあるため、植える場所には気をつけましょう。
【セージ】
セージにはいくつかの種類があり、青紫の花を咲かせるメドーセージ、赤い花をつけるチェリーセージ、柔らかい毛におおわれ赤紫の花をつけるアメジストセージなどが一般的です。
どれも多年草で、冬には枯れますが毎年、放っておいても春には芽を出し、育ちます。きれいな花をつける一方、大きくなりすぎることもあるため、こまめな刈り取りが必要です。
【サンショウ】
サンショウの葉や実は、香辛料として利用できるので、1本ぐらいあると重宝しますね。
ですが種子が落ちると、雑草のようにたくさん生え、鋭いとげがあるので、早めに抜いておいた方が無難です。ただしサンショウには、雄株と雌株があるので、実を収穫したいなら、雌株であることを確認してから残すようにしましょう。
まとめ
草花の中には放っておいても毎年、きれいな花をつけるものがあります。ですが、あまり放任栽培しすぎると、雑草化して手に負えなくなることもあるので、こまめなお手入れが必要ですね。
また、植えっぱなしにしておくと、土も硬くなり痩せていってしまいます。定期的に見直して、必要な分だけ取り分け、増えすぎた植物は根こそぎ抜いて、理想の庭づくりを楽しみましょう。