じゃがいものなかでもキタアカリは、花が咲きにくい品種です。
というのもキタアカリは、男爵薯とツニカという品種の掛け合わせ。元の品種・男爵薯は花が少ない傾向があり、この部分を受け継いでいると考えられます。
一般的にじゃがいもに花が咲かない原因は、品種以外にも
- 窒素肥料の過不足
- 環境による生育不良
- 種芋を深く植えすぎた
などがありますが、花が咲かなくてもイモは収穫できます。
ここではキタアカリを含むじゃがいもに、花が咲かない原因と対処法について解説します。
キタアカリに花が咲かない4つの原因と対処法
じゃがいもはナス科の野菜で、星形の花をつけ品種によって色に違いがあります。そして、同じ場所で同じ品種を栽培しても、花が咲くもの咲かないものが出てくることがあります。
花が咲かないおもな理由は「品種・環境・植え方・肥料」の4つです。
品種によって花が咲かない
じゃがいもにはいくつかの品種があり、そのなかには花が咲きやすいものとそうでないものがあります。
例えば、収穫量が多く育てやすいメークインは花が咲きやすいですが、男爵薯は花が咲きにくい傾向があります。キタアカリは、この男爵薯とツニカという品種の掛け合わせなので、花が咲きにくいんですね。
対処法
花が咲きにくい品種なら、特に対処する必要はありません。葉・茎の勢いが良いならそのまま放置し、葉が黄色くなったら、窒素分の多い「発酵油かすと草木灰」を施しましょう。
育てる環境
じゃがいもは、適応性があり比較的どんな土でも栽培しやすい野菜ですが
- 日当たりが悪く日照不足
- 水はけが悪い
- 高温で乾燥しやすい
などの悪条件が重なると、生長不良を起こして花が咲きにくくなります。
また、じゃがいもには春植えと秋植えがあり、品種によって適期が違います。春植えでは花が咲きやすい品種も、秋に植えると花が咲かないことがあります。
キタアカリは春植えに適した品種。秋に植えても育てられないことはありませんが、芽が出た状態を確認してから植えつけると良いでしょう。
対処法
じゃがいもは、一度植えたら移植することができないため、植え付けの際は「日当たり・水はけ」の良い場所を選んでおきましょう。
種イモを深く植えすぎた
種イモを植えつけるときは、5~7cmの厚みで土を被せます。が、深く植えすぎると地上に芽が出るまでに時間がかかりすぎてしまい、生育時期がズレて成長が遅れ、花が咲かないことがあります。
対処法
イモは日光に当たると、皮まで緑になり毒素のある「ソラニン」という物質が作られるので、栽培途中で土寄せし、イモが表に露出するのを防ぎます。
そのため、種イモの段階で深く植えすぎても、芽が出て順調に育っていれば特に対処する必要はありません。
窒素肥料の過不足
じゃがいもは少ない肥料でも育ちますが、花が咲きやすい品種で開花しないときは、窒素不足が考えられます。
逆に窒素が多すぎると、茎と葉ばかりが茂ってしまい蕾をつけづに花は咲きません。
対処法
じゃがいもは、栽培中に2回の追肥を行いますが、バランスの良い肥料をタイミングよく与えることが大切です。
葉色が悪ければ、窒素分が多く含まれる肥料を与え、イモを太らせるカリ分含む肥料も一緒に施すとよいでしょう。
じゃがいもは「花が咲かなくても収穫できる」
種イモから芽が伸びると、土に埋まった茎部分からは「ストロン」と呼ばれるものが伸び、その先に新しいイモを形成します。
なので、じゃがいもの収穫に「花が咲く、咲かない」は関係ありません。
「なぜ花が咲くの?」
「子孫を残すため」です。
じゃがいもの花も他の植物同様、花が終わると実がなり、中には種が含まれます。その種を採取して植えれば、やがて芽が出て栽培可能。
ですが、種から育てるじゃがいもは小さく、一般的な食用のじゃがいもサイズになるには3年程かかってしまいます。
なので、種イモから育てたほうが効率的というわけですね。
そのためか、最近のじゃがいもは花が咲いても実がつかないよう、品種改良されているため実をつけることはほとんどありません。
咲いた花は摘んだ方が良い?
結論から言うと『どちらでもよい』です。
じゃがいもの花を摘むおもな目的は、”体力を温存する”ことです。
ですがじゃがいもの場合、花が咲いてもそれほど体力の消耗にはならないので、イモの肥大には関係しません。
また、花を摘むとそこから病原菌が入り込み、病気になりやすいデメリットがあります。多少の体力消耗があっても、花が咲いたら摘まずにそのまま放置する方が無難といえます。
花を摘むより芽かきと追肥が大事
収穫するのが目的の家庭菜園。太ったキタアカリを収穫するには、花を摘むより、芽かき作業と追肥をしっかり行いましょう。
種イモを植えつけてからおよそ6週間、草丈が伸びてきたころ、大きく元気な芽を1~2本だけ残し、他の茎は切り落とします。こうすることで土の中の茎に栄養が集中し、さらに追肥を施すことで肥えたイモが収穫できます。
まとめ
じゃがいもに花が咲かない原因は、品種・環境・植え方・肥料ですが、花が咲かなくてもイモの収穫や大きさには関係ありません。
じゃがいも栽培で大事なのは、土の中の茎部分に栄養を集中させ新しいイモを育てること、花を咲かせることではありません。たとえ花芽がついたり花が咲いたとしても、じゃが芋にとってそれほど体力の消耗にはならないので、摘む必要もないでしょう。
キタアカリは花が咲きにくく、春植え向きの品種。なので秋植えした場合は、花は咲かないかもしれませんが、芽かきと追肥を施しておけば年内には収穫できます。