甘長トウガラシは、春から栽培を始めて7月~9月に収穫時期を迎えます。が、季節が秋めいてくると、斑点のような黒や濃い茶色のシミがあらわれることがあります。これは、トウガラシ類の防衛反応で、病気ではありません。
また、甘みが特徴の「甘長トウガラシ」が辛くなるのは、生育中のストレスや受粉不良が原因かもしれません。
甘長トウガラシの実が変色する原因と対策
甘長トウガラシや万願寺トウガラシに見られる、大きな紫色のシミや日焼のような症状は、生理現象の一種で「黒あざ果」と呼ばれます。
トウガラシ類の防衛反応
甘長トウガラシの実が変色しやすいのは、秋口に入るころで、まだ紫外線が強くある一方、急激に気温が下がるような時期に発生しやすくなります。
これは、紫外線から実を、特に種の損傷を防ごうとしてトウガラシから「アントシアニン」という色素が出て、黒ずんだりします。人間と一緒、日焼け防止のためなんですね。
なので、カルシウム不足やウイルス感染による「尻腐れ」とは違うため、収穫して食べても大丈夫。
同じナス科のピーマンやパプリカに、このような現象が起きにくいのは、品種改良されてきたからで、甘長トウガラシや万願寺トウガラシは、黒あざの遺伝子が出ないようにするのは難しいといわれています。
変色を防ぐ方法
変色の原因は温度変化と紫外線ですから
- 急な温度変化を避けるよう薄い寒冷紗をかける
- 実に直射日光が当たらないよう、密集気味に植えつける
- 葉を茂らせて日陰を作る
など対策を工夫してみましょう。
甘長トウガラシが辛くなる原因と対策
甘長トウガラシが辛くなってしまう原因は、何らかのストレスがあって生理障害を起こしているからです。
ポイントは水やりと受粉
甘長トウガラシは、水切れを起こし乾燥がひどくなるとストレスを感じて辛くなります。毎日、夕方にたっぷりの水やりをしていきましょう。畑の場合は株元だけでなく通路の方まで、プランターの場合は、底から水が流れ出るまで与えます。
また、ナス科の野菜で起こりやすい「単為結果※」になると、甘いはずの実が辛くなることがあります。刷毛などを利用して、人工授粉しておくのも一つの手段ですよ。
甘長トウガラシの近くで、辛い品種のトウガラシを栽培すると、まれに交雑して種があるワタ部分が辛くなることがあります。この場合、果肉部分は辛くならないので、タネやワタを取り除いて食べれば問題ありません。
※単位結果とは?
受精しなくても果実ができることをいう。普通はタネなしとなる。
単為結果には二種類あり、花粉やそれにかわる物質の刺激によって、受精せずに結果するものを他動的単為結果といい、受粉やその他の刺激なしに結果するものを自動的単為結果(キュウリ・バナナ・イチジク・ブドウ)という。
タイキ種苗株式会社より
まとめ
甘長トウガラシの実が変色するのは、トウガラシ類の防衛反応で、病気やウイルス感染ではないため食べることができます。シミの無い実を収穫するには、秋口の急な温度変化を避けるよう、寒冷紗などを利用して対策しておきましょう。
また、辛くなってしまう原因は、生育中のストレスや受粉できないのが原因です。栽培中は乾燥しないよう、夕方たっぷりの水やりをして、確実に受粉できているか観察してみてください。
甘長トウガラシは、苗から育てる方が多くの収穫を見込めておすすめです。