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小市民シリーズと氷菓につながりはない?違いや似てる点についても

小市民シリーズ

小市民シリーズと氷菓はどちらも米澤穂信さんによるものですが、2つの作品につながりはありません。

氷菓は、2001年に刊行された米澤さんのデビュー作であり、「古典部シリーズ」の第1作に当たります。2017年には山崎賢人さんと広瀬アリスさんによる実写映画が公開されましたね。

一方、小市民シリーズは氷菓から3年後の2004年、「春期限定いちごタルト事件」から始まり、2024年シリーズ第4弾となる「冬季限定ボンボンショコラ事件」で完結、2024年7月からTVアニメが放送開始されました。

ここでは小市民シリーズと氷菓、つながりはない2つの作品の違いや似ている点についてピックアップしてみました。

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小市民シリーズと氷菓(古典部シリーズ)につながりはない?

(小市民シリーズは)氷菓などの古典部シリーズに並ぶ、日常の謎系青春ミステリーだとは知っていた。読んだ印象は、探偵役の男子高校生が女子の影響で、嫌々ながら優れた頭脳を発揮する様子が似ていると思った。

「春期限定いちごタルト事件」アマゾンレビューより

…古典部シリーズとの比較になってしまうが、ぼくは日常の中のミステリという意味で古典部シリーズと(小市民シリーズは)同じようなことをやっているなと感じた。

(小市民シリーズの)主人公もヒロインも魅力的で十分好きなキャラクターではあるが、小市民シリーズと古典部シリーズを分ける必要が分からなかったのだ。

もちろん設定は変える必要はあるが、日常の中のミステリを書くのであれば、どちらか一方でまとめても良かったのではないか?と感じてしまった。

「春期限定いちごタルト事件」アマゾンレビューより

氷菓を含む「古典部シリーズ」は2001年、「小市民シリーズ」は2004年に第1弾が出版され、3年のズレはあるものの並行してシリーズが展開します。

どちらの作品も高校生の男子生徒が主人公で、日常の謎を解くという青春ミステリー。舞台が岐阜県ということもあり、どことなく似ているシリーズですが、つながりはなく別々のストーリが展開します。

小市民シリーズとは

主人公の小鳩常悟朗は、中学時代に”知恵働き”という推理活動で苦い経験をし、ごく普通の小市民を目指します。

ヒロインは小佐内ゆき、彼女も自分の厄介な性分をどうにかするため、小鳩君と”互恵関係”を結び共に小市民を目指しますが…二人の高校生活には、なぜか不可解な事件や災難が舞い込んできて、いつの間にか謎を解き明かします。

「小市民シリーズ」は、2004年からスタートし20年の月日を経て完結してます。

タイトル刊行年時期
春期限定いちごタルト事件2004年12月高校1年の春
夏期限定トロピカルパフェ事件2006年4月高校2年の夏
秋期限定栗きんとん事件(上下巻)2009年2月・3月高校2年の秋~高校3年の秋
巴里マカロンの謎(番外編)2020年1月高校1年の秋~冬
冬季限定ボンボンショコラ事件2024年4月高校3年の冬

氷菓とは

主人公の折木奉太郎は、「省エネ主義」を心情とする何事にも積極的に関わろうとしない高校生。姉の勧めで廃部寸前の古典部に入部し、活動目的が不明のまま古典部は復活します。

ヒロインは、同じ古典部に「一身上の都合」として入部していた千反田える。好奇心旺盛な少女で、ある日幸太郎は彼女から、「同じ高校にいた元古典部部長の叔父から、幼少期に聞かされた古典部に関わる話を思い出させて欲しい」と依頼され、物語は展開します。

氷菓を含む「古典部シリーズ」は2001年からスタート、幸太郎たちはいまだ高校2年ですが、シリーズとしては高校を卒業するまで続く予定だとされています。

タイトル刊行年時期
氷菓2001年10月高校1年
愚者のエンドロール2002年7月高校1年の8月
クドリャフカの順番2005年6月高校1年の秋
遠回りする雛2007年10月高校入学からの1年
ふたりの距離の概算2010年6月高校2年の5月
いまさら翼といわれても2016年11月高校2年


小市民シリーズと氷菓の違い

シリーズ全体を通しての違いとして、「小市民シリーズ」はスリリングなアクションも見られ、緩急に弾みがある印象。それに対して、氷菓を含む「古典部シリーズ」は、全体的にゆっくりとしたテンポ感のある作品です。

ではほかに、どんな違いがあるか?いくつか見ていきましょう。

主人公の違い

小市民シリーズの小鳩君は、謎を見つけると自分から推理してしまうタイプ。

一方、氷菓の折木君は「やらなくていいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に」をモットーに、なるべくなら謎から遠ざかろうとする、省エネ主義を貫こうとします。

ヒロインのキャラ設定

小市民シリーズのヒロイン小佐内ゆきは、小柄で地味な印象の女の子。ですが、その外見とは裏腹に受けた仕打ちを忘れない執念深さと、やられたらやり返す本性を持っています。

氷菓のヒロイン千反田えるは、普段は穏やかで言葉遣いも丁寧なお嬢様タイプ。ですが、些細な違和感や興味をひかれることを見つけると、「わたし、気になります」といって好奇心の強さを表します。

二人の関係

小市民シリーズの主人公である小鳩君と小佐内さん、この二人は恋愛関係でも依存関係でもない「互恵関係」にあります。

これは、互いに利益を得る、または利益を与え合うというもので、恋愛感情はありません。実際二人ともそれぞれ彼女、彼氏がいる時期がありましたからね。

一方、氷菓の方はどうかと言うと…

主人公の折木君、はじめは本人も自覚してなかったようですが、えるに対して恋愛感情を抱いています

えるはというと、恋愛に関しては鈍感タイプ。折木君のことを「頼りがいのある特別な存在」としてますが、恋愛感情を抱いてるかのような言動が見られます。

小市民シリーズと氷菓の似てるところ

次に、小市民シリーズと氷菓を含む「古典部シリーズ」の似ている部分について、見ていきたいと思います。

物語の始まりとストーリー展開

どちらの作品も、主人公とヒロインが高校に入学したところから物語が始まります。そして、主人公はヒロインの女子に振り回され、推理して謎を解いていく姿が似ています。

とはいえキャラ設定は真逆で、小鳩君は自分から推理したがるところがあり、折木君は自分から積極的に推理することはありません。

日常の謎を解くストーリー

小鳩君は、高い推理力があり、自分の周囲で起きる日常の謎を解きたがる性分。ですが、苦い経験から高校では推理することなく、目立たないよう「小市民」を目指します。

ですが度々、思わぬ謎に遭遇してしまう彼は自分を抑えきれず、ついつい推理をしてしまうのです。そして最後に、「僕が思うに〇〇で片がつく」の口上を述べて問題を解決します。

一方の折木君はというと、成り行きで探偵役を務めることはあっても、自分から積極的に行動して解決することはありません。その場の状況と手がかりを元に、脳内で推理を組み立て謎を解決するのです。

そしていくつかの事件を解決し、周囲から称賛されるも、本人は「ただの運、閃き」に過ぎず、心のなかでは「さいですか」とぼやいています。

岐阜県が舞台

「小市民シリーズ」と「氷菓」はともに、作者の米澤穂信さんの出身地、岐阜県が舞台と言われています。

「小市民シリーズ」は岐阜県岐阜市、「氷菓」は岐阜県高山市をモデルにした名所がいくつか登場します。

例えば、小鳩君たちが通う高校は、岐阜県内にある公立の難関校「船戸高校」、このモデルになったのが「岐阜県立岐阜北高等学校」です。

また、折木君たちが通う高校、文化系部活動が活発な事で有名な進学校「神山高校」は、「岐阜県立斐太高等学校」がモデルであり、作者・米澤の出身校でもあります。

まとめ

「小市民シリーズ」と「氷菓」につながりはないものの、違う部分や似てる点があることに関してまとめると

  • どちらも高校生の男の子が主人公
  • キャラ設定は真逆
  • 日常の謎を解くストーリー
  • 小市民シリーズは緩急にはずみがあり、氷菓はゆっくりとしたテンポ感
  • 主人公はヒロインの女子に振り回され推理する
  • ヒロインのキャラ設定も真逆
  • どちらも舞台が岐阜県とされる

ことがわかりました。

また、氷菓は2012年にテレビアニメ化され、小市民シリーズも2024年7月からTVアニメが放送開始されてます。

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